ミニ財布の原点、L字のショート。

急速に進むキャッシュレス化への流れの中で、注目を浴びるミニ財布。ブームとなる以前から、小さい財布としての地位を確立していたのが、この『L字のショート』です。人気のL字ファスナータイプで、ロングウォレット（長財布）に対して、横幅が短めであることから、ショートウォレット（短財布）と呼ばれています。ミニ財布の中には、小ささを追求するあまり、逆に扱いにくくなってしまっていたり、構造的に奇抜すぎて、シンプルさに欠けるものが見られることもありますが、その点、こちらは定番のカタチなので、使い勝手の良さはお墨付き。お客様から「とりあえず、使いやすいミニ財布を教えて！」というお問い合わせがあったとき、迷わずオススメするのは、いつの時代も『L字のショート』が第一候補です。

効率的なL字型、三つの長所。

L字ファスナータイプのいいところを検証。比較対象となるのは、お財布の定番スタイル、ラウンドファスナータイプです。まずは、ファスナーについて。ラウンド型がコの字に三辺をカバーするのに対して、L字型は二辺のみ。一辺分、開閉の手間が省けます。次に、出し入れの面。ラウンド型は一般的に内装が両マチ仕様のため、出し入れの方向は上からのみ。一方のL字型は片開きなので、斜めにスッと手早く、お札を引き抜くことができます。最後は、コインポケット。ラウンド型の多くはファスナーポケットですが、L字型はフタなしのオープンポケットが基本。開け閉めがない分、すぐに小銭を取り出せます。

ホーウィン社のシェルコードバン

コードバンの靴に、コードバンのベルト。そして、コードバンの財布。いつの時代も革好きにとって、コードバンは憧れの存在です。中でも、アメリカ・ホーウィン社のシェルコードバンは別格。数ヶ月もの長い時間を経て完成するホーウィンコードバンの魅力は、どこか野性味を感じる表情の豊かさにあります。他のコードバンは均一でハリが強く、どちらかと言うと、カッチリとした印象。それに比べてホーウィンコードバンは、染料による色ムラ・ピンホールと呼ばれる毛穴の跡や小さなキズなど、革のありのままの姿を感じられる自然な仕上がりになっています。また、たっぷりのオイルが革の中心部にまで染み込んでいるため、しっとりとした手触りで柔軟性もあります。シェルコードバンの美しいエイジング（経年変化）を存分に味わうなら、カラーはやっぱりブラック。毎日のように、つややかなコントラストを目の辺りにできることは、このお財布を手にするユーザーにとって、とても贅沢な体験となるはずです。

プエブロレザーを合わせました。

雰囲気のあるイタリア革と言えば、このプエブロレザーが代表格。バダラッシ・カルロ社のプエブロは、その製法がとてもユニークです。あえて革の表面に小さなキズを無数につけることで、毛羽立ったような質感を表現。最初はザラッとした手触りで、革らしい光沢もありません。ところが使ってしばらくすると、起毛感が落ち着いてくるとともにオイルが染み出して、見違えるようなエイジング（経年変化）を見せてくれます。ホーウィンレザーの圧倒的な存在感にも引けを取らない、通好みの個性派イタリアンレザーです

だからこそ、コバを見て下さい。

こだわりポイントは、コバ（革の切り面）の美しさ。「コバ処理を見れば、製品のクオリティが一目でわかる」と言われるほど、この部分の仕上がりはモノを良し悪しを左右します。レザークラフトに精通していなければ、気に留めることもないかもしれませんが、丁寧なものづくりの結果が、しっかりとディティールに現れています。

すべてがブラック。エクセラも

ファスナーには、YKK社のEXCELLA（エクセラ）を使用。しかも、重厚感のあるブラックニッケル。黒いコードバンに、黒いプエブロ。そして、黒いエクセラファスナー。黒一色でまとめるなら、これ以上の組み合わせを見つけるのは難しいかもしれません。

波打つ曲線。機能的なポケット

中のポケットは、緩やかな曲線を描くようにカットされています。これにはデザイン的な要素だけでなく、機能面でも効果的な理由があります。小銭入れのカーブは、先端に向かって少し下がっていくようなライン。これは指が入りやすくするためと、コインを見やすくするためです。（※直線的にするよりも、斜めにしたときの方がポケット口の面積が若干広がります。）側面のカードポケットは、波のような三本線。こちらはカードを取り出しやすくするためと、見える部分が増えることで視認性が高くなるためです。

王道にして、スタンダード。

カードポケットは、左右合わせて6枚分。出し入れがスムーズなオープンタイプの小銭入れは、手前の角を指で押すと、入口が広がって硬貨を見つけやすくなります。写真の状態で、999円（五百円1枚・百円4枚・五十円1枚・十円4枚・五円1枚・一円4枚の計15枚）が入っています。札入れスペースは、二つ折りの紙幣を小銭入れの両側に分けて差し込む、小銭入れを軸にして紙幣の間に挟み込む、この二通りの収納方法が選べます。小さくて使いやすいお財布のスタンダードとして、男女を問わず、幅広い世代から愛される、万能型のコンパクト財布です。